買い物や高級品の所有は、自己評価を上げる
自己評価を高く保つための防衛機制。
次は自己評価が高い人も、自己評価が低い人も行っている方法だ。
まず一つ目は「買い物」だ。
世の中には、モノを持たない方が良いとか、物欲から離れる方が高尚だという考え方もある。
しかし現実的には、買い物をすることは、自己評価を高める一つの手段だ。
たとえば贅沢品や高級品は、それを買えることや持てることで、自己評価を上げることができる。
買い物は物質的な欲望のようにも思えるが、心理的な欲望だとも考えられる。
というのも、失敗して落ち込んだりしたとき、ついつい余計なモノまで買い込んでしまうことがある。
これは心に空いた穴を埋め、自信を持つための行動らしい。
もちろん病的な買い物もあって、支払い能力をはるかに超える買い物をしたり、「これは買わなければいけない」と強迫的に買う人もいるが。
そして高価なものを所有することで、自己評価を高める場合もある。
美しい家具、瀟洒な家、大きな車、ブランド品。
都会の真ん中で四輪駆動の大きな車を乗り回すのは、必要があってしているのでは無く、自己評価のためだろう。
さらに持ち物を見せびらかすことで、自己評価を高めようとする人もいる。
カーステレオのボリウムをめいっぱい上げて運転する人、超高級車を人通りの多いところに駐車する人、入会条件が厳しいクレジットカードを持ち、それで買い物する人。
こういうことは、他人をうらやましがらせられる(とその人は思っている)ため、自己評価を上げる。
変わったペットを飼うなどと言うことも自己評価を上げるのだから、変わったモノを持つとか、変わったコレクションを持つのも、おそらく自己評価を維持するために有効だろう。
夢想や空想、競わない趣味
自己評価を高く保つための防衛機制。
「空想」や「妄想」も自己評価を維持する。
そのため自己評価が低い人は、果てしない空想にふけることもある。
成功を夢見るが、実際には何もせず、ただ成功している自分を空想して楽しむ。
コンピュータゲームやテレビドラマ、物語などに夢中になるのも、現実世界からの逃避であることが多い。
現実逃避はダメだという人もいるだろうが、心が壊れるよりははるかに良い防衛機制だ。
心が痛んで壊れそうな状況では、現実を直視する体勢になく、脳の海馬という器官が壊れる。
なのでまず、心が壊れるのを防ぐのが最優先だ。
自己評価が高い人も空想にふけることがあるが、その何割かは実際に実現のために行動に移される。
つまり実現するために、様々なことを空想し、「それをどうやって実現するか」に思いをはせる。
しかし自己評価が低い人は、仮想現実の中に理想の人生を投影してしまい、そこで満足してしまいがちになる。
現実世界での努力を行わないため、実際の生活は何も変わらない状態が続いてしまう。
そうであれば、そういう夢想や空想を趣味にして、自己評価を高めるという方向に進みたい。
すなわち「生活の中でのささやかな喜び」で、自己評価を上げようと言うことだ。
たとえば剣玉が上手だとか、折り紙が得意だとか、こういったマイナーな趣味で上達することは、他人と競い合う必要が無いし他人に脅威を与えない。
そのため嫉妬を買ったり攻撃を受けるリスクが小さいし、変わったヤツだというキャラも獲得できるので、自己評価が低い人には打って付けかもしれない。
もちろん自己評価が高い人も、マイナーな趣味を持つことで、ユニークな人間であるという評価を得られるため、自己評価が維持できる。
最後に、防衛機制は、自己評価を守る役には立つが、現実を回避したり、歪曲していることは否めない。
たとえば自分の失敗を笑って冗談にしてしまおうとするのは、嫌な失敗を思い出して辛い気持ちにならなくならずに済む。
失敗したときに、笑って切り抜けようとする人は、他人から見ると、反省が足りないとみられたり、へらへらしているとみられたりするため、他人からの評価を失うリスクもあるわけだ。