ナルシスト 自己愛に満ちた人々
フランスの精神科医であるクリストフ・アンドレとフランソワ・ルロールが著した「自己評価の心理学」という本によると、自己評価には、自己愛・能力肯定・自信という3つの柱があるという。
最初の自己愛というのは、簡単に言うと、自分のことが好きかどうか、ということだ。
欠点があろうが、見栄えが悪かろうが、自分のことを好きでいられるか、これが自己評価を支える一つ目の柱だ。
自己愛に満ちた人の例としては、ナルシストが挙げられる。
ナルシストの意味はそのままずばり「自己愛の強い人」のことで、自分自身のことが大好きで、どんなにブサイクでも、どんなに短足でもズングリムックリでも全く気にしないタイプだ。
美醜や体型というのは、自己評価に非常に大きな影響を与えるモノなのだが、どういうわけだかナルシストと呼ばれる人々は、それを全く気にせず、自分の姿に酔いしれる。
お笑いタレントさんでも、ノンスタイル井上さんや、フットボールアワー岩尾さんなど、ナルシストタイプのタレントさんは珍しくないね。
この二人は、吉本興業のブサイク芸人ランキングで、3年連続1位に輝いて殿堂入りしているくらいで、ブサイクであるという客観的評価を受けている。
にもかかわらず、おしゃれに気を遣い、表情や立ち居振る舞いにも気を遣い、ブサイクだと言われ続けても、全くめげることなくニコニコしている。
彼らの自己愛は揺るぎがなく、そのため自己評価も揺るがない。
自分が好きかどうかというのは、個人的な好き嫌いの問題であるから、他人による客観的な評価なんか関係が無いらしい。
愛されて育った子どもは、自己愛が揺るがない
お笑いタレントのノンスタイル井上さんや、フットボールアワー岩尾さんは、吉本ブサイク芸人ランキングで3年連続1位にランクされ殿堂入りした、ブサイク認定のお笑いタレントだ。
しかし彼らはそんな評価を気にすることなく、おしゃれに気を遣い、高い服を買い、スキンケアや美顔にも余念がない。
自分自身のことが大好きで、暇があったら鏡を覗いている。
自己愛に満ちた「ナルシスト」という性格だ。
自分を愛することができるかどうかは、自尊心を支える大きな柱であるため、それで自尊心を保つことに成功しているということらしい。
つまりいくらブサイクだと言われようが、気持ち悪いと言われようが、自己愛が揺るがないため、全くへこたれると言うことが無いわけだ。
そしてこの自分を愛せるかどうか、好きでいられるかどうかは、家族から愛されているかどうかによるという。
家族から愛されたという実感を持って育った人間は、自分は誰かに愛されるに値する人間だと考えるのだ。
これは社会的な評価や客観的な評価では無く、「自分は愛されている」「自分は愛されていない」という実感からくるものであるから、実際に経験して獲得した経験則・素朴理論なのだ。
自分の経験から見つけ出した経験則ほど強いモノは無い。
これは主観的だが、一つの真理であるのだ。
実際、岩尾さんなどは、高校を卒業するまでは、自分がブサイクだなんて知らなかったと、たびたび言っているというのも生まれてこの方、周囲から「可愛い」と言われ続けたそうで、親も祖父母も岩尾さんをかわいがってくれたらしい。
一方、ノンスタイル井上さんも、子どもの頃からスポーツや音楽が出来て、勉強もそこそこで来たので、女の子から注目されて育ったらしい。
井上さんにとっては、悲鳴も自分への賛辞であり、女性から何も反応されないことが一番嫌だという。
感受性豊かな成長期に周囲に愛されて育った彼らは、成人したあとも自己愛が揺るがず、それが積極的な行動につながっているってことらしい。