派手な女性と、地味な女性、どちらが選ばれる?
自己評価は恋愛とどう関係するのか。
1960年代から様々な実験が行われた。
男子学生に知能テストを受けさせ、一時的に自己評価を操作した実験では、自己評価を高められた学生が、積極的に女子学生にアプローチすることを確認した。
このテストでは、テストの成績にかかわらず、ランダムに良い成績と悪い成績を割り振って、「ほめられた学生」と「けなされた学生」を作った。
つまり、ほめられた学生は、自己評価が上がり、けなされた学生は、自己評価が下がるわけだ。
そしてテスト結果を渡したすぐあとに、食堂で女子生徒を紹介した。
食堂に待機させていた女子学生には、男子学生がどういう行動をとったか、あらかじめメモをとるように頼んでおいた。
つまり、誰が声を掛けてきたか、その内容はどのようなモノだったか、電話番号を尋ねたりデートに誘ったりしたか、などという風に記録させたわけだ。
そして女子学生も、丁寧に化粧を施し流行の服を着せた学生と、化粧は最低限にし、ラフな格好をさせておいた学生を用意した。
その結果、自己評価を高められた男子学生は、しっかり化粧した,おしゃれな服を着た女子学生を誘った。
一方、自己評価を下げられた男子学生は、もう一方のグループよりも、声を掛ける割合が小さかった上、誘ったのは化粧の薄いラフな格好の女子学生だったという。
つまり男子学生は、自己評価の高い低いによって、話しかける女子学生を変えると言うことらしかった。
これは、失敗するリスクを最小にする行動で、自己イメージに見合った相手を求めるのだと考えられる。
一方、女子学生に対する自己評価の実験も行われた。
こちらは「ウォルスターの実験」としてよく知られる実験だ。
ウォルスターの実験
男子学生は、自己評価を上げると、派手な女子学生に積極的に声を掛け、逆に自己評価を下げると、地味な女子学生に声を掛けた。
同じ事が女子学生に言えるかどうか、同じ実験を女子学生に行ってみたが、男子学生のような行動をとらず、よくわからなかった。
そこで、女子学生には別の実験が用意された。
それが恋愛心理学などの本に良く載っている「ウォルスターの実験」と呼ばれるモノだ。
ウォルスターは女子学生を一人ずつ呼び出して、知能テストを受けさせた。
男子学生の実験同様、テスト結果にかかわらず、良い結果と悪い結果をランダムに渡したのだが、その前に若い男性に接触させてみた。
テストを行う前のホールで若い男性は、女子学生にテストの開始が遅れていることを告げ、約15分間ほど自己紹介をと、女子学生をデートに誘うように依頼しておいたのだ。
そしてテスト結果を渡し終わったしばらく後に、5人の人間についての印象を回答してもらった。
その五人とは、テスト前に話した男性、最近魅力を感じている人、テスト結果を手渡した男性、特定の教師、彼女自身だった。
そして自己評価を上げられた女子学生と、下げられた女子学生を比較してみたところ、良い結果を手渡された女子学生は、控え室で声を掛けられた男子学生について、特に良い印象を持たず、様々な評価をしていた。
一方、悪い結果を手渡され、自己評価を下げられたグループの女子学生は、声を掛けた男子学生に対して好印象を抱いていた。
自己評価が下がって落ち込んだ女子学生は、声を掛けてくれた男子学生に、心を動かされたわけだ。