自信は波及する
仕事と恋愛に関する自己評価は、人によって大きく異なっている。
仕事ができるという自己評価と、恋愛ができるという自己評価は、どちらかに偏っている人が多いはずだ。
これは仕事が能力肯定と、恋愛が自己愛と関係しているからだ。
ところが、この二つの自己評価は、完全に独立していて無関係なのかというと、そうでもない。
仕事がばりばりできて自信満々な人でも、恋愛で失敗すると途端に自信がなくなり、生きている価値がないように思い始めたりする。
逆に恋愛がうまく行ったために、意欲がなかった仕事でも、真剣に取り組めるようになる場合もある。
もちろん仕事がうまく行かないと、恋愛の方もうまく行かなくなる場合もあるだろう。
さらにこれは、仕事と恋愛の関係に留まらない。
たとえば一番自信を持っていた分野で大きな失敗をすると、それとは全く関係ない分野での自信もなくなったりする。
逆に、何事に関しても自信が持てなかった人でも、ある特定の分野で脚光を浴びて自信を持つと、急にやる気を出して、がんばれるようになったりする。
「とうとう自分にも得意分野が見つかった!」、「自分にも生きる価値があった!」という感じで、目の輝きまでもが変わってきたりする。
たった一つのジャンルで自信を持てるようになるだけで、他のジャンルでも努力する余裕ができ、自信が波及するわけだ。
相対的な自己評価は、何で決まるのか
自己評価は、複数の要素で成り立っている。
となると総合的な自己評価は、一体何で決まるのだろう?総合的な自己評価は、実はたった一つの分野で決まると言う研究者もいる。
というのも、世間的には大成功していて、なんの引け目も感じないような状態の人でも、どことなく自信がないタイプの人もいるからだ。
こういうタイプの人というのは、自分が最も重要視している分野で自己評価を決めている。
つまり自己評価の基準が一つしか無くて、その分野での成功がなければ、他が全てうまくいっていても自己評価が上がらないのだ。
自分自身の成功は、全て○○にかかっている、というわけだ。
ただしたいていの人の場合、自己愛・能力肯定・自信という3本柱のバランスが良いかどうかで自己評価は決まる。
この3つの要素のバランスが悪いと、自己評価が不安定になるからだ。
たとえば、能力肯定ができない人の場合、自信は表面的になって、ちょっとした失敗で自己評価が大きく下がる。
能力肯定ができる人でも自己愛が弱いと、恋愛での失敗が不安やコンプレックスにつながる。
自信が無い場合は、どれだけ愛情に恵まれて自己愛が強くても、行動できなくなってしまうため、自己評価は著しく下がる。
立派な学歴があり、親から愛されて育っても、甘やかされて過保護に育っていれば自信が持てず、厳しい現実に立ち向かう勇気が起こらないのだ。
結論として、「自己評価の心理学」によると、自己評価は「愛されているという気持ち」と「能力があるという気持ち」の二つでできているという。
というのも、愛されているという気持ちだけで、能力を評価されない場合は「子供扱いされている」気分になる。
逆に能力を高く評価されていたとしても、誰にも愛されていないと満たされず、欲求不満に陥ってしまう。
なのでこの二つが揃って初めて人は満足し、そこで自己評価が高くなるのだという。
要するに、愛情と能力の低い方で決まるわけだな。