行動することは良いが、他で頑張ってはいけない
自己評価を高める第4の鍵は、「行動する」ということだった。
自分の意志で行動することは、自分の決めた目標への挑戦であり、自分自身でコントロールできるモノは、達成すれば自己評価が上がる。
なので自分の意志で行動するなら、自動車の運転でも、掃除でも洗濯でも、自己評価を上げることができる。
自分でやり方や制限時間を決めたりして、コントロールできることなら何でも良いわけだ。
ところが自分でコントロールできることなら、何をやっても気分が良くなってしまうものだから、別の問題が起こってしまう。
つまり、やるべき事を「やらない(回避)」で、「別のことで頑張る(補償)」ということをしてしまうわけだ。
たとえば試験のために勉強しないといけないのに、本棚を整理してみたり、他の作業に熱中してしまい、肝心の勉強は全然進まなかったりする。
失敗しそうなこと、うまく行かなそうな勉強を回避して、失敗しない本棚の整理を頑張ることで、埋め合わせるわけだ。
もちろん何もしないよりは、何か行動した方が良い。
自己評価を改善するには、とにかく行動することが重要で、具体的な行動が、自己評価を高める切っ掛けになる。
行動することによって、頭の中が整理され、それが問題解決のための突破口になることもよくあるからだ。
戦前の哲学者の西田幾多郎は、困難に出会うと海に出かけたり、「哲学の道」を散策することを日課にしていたそうだが、難しい問題は身体を動かしている最中や、そのあとにひらめくモノらしい。
これは問題解決のための行動自体はやめていないため、回避でもないし補償でもないわけだな。
自分を変えるための戦略
自己評価は、自分がやろうと思ったことを達成すると高くなる。
ところが行動にとりかかってまもなく、その行動をやめてしまう人もいる。
せっかくやり始めたのに、なぜ途中でやめてしまうかというと、自分の行動を自分で批判し始めてしまうからだ。
特に自己評価が低い人は、自分の行動について批判する傾向にあり、それが行動を完成させない大きな原因になる。
行動前は、「そんなことをしてもムダだ」「なんのためになる?」といって行動しない。
あるいは「きっとうまくいかないだろう」と不安になったり、「うまく行かないといけない」という完璧主義が妨げになる。
行動を始めた後も、「これではダメだ」「なんのやくにも立たなかった」「これでは不十分だ」などと思い始めて、そこから新たな挑戦をしなくなる。
つまり、自分の心の中に行動を邪魔する声が生まれるわけで、この「自分の心の中の批判を黙らせる」というのが、第5の鍵になる。
こういう批判に対して「自己評価の心理学」のテキストには、
- そう考えるのは現実的なのか?
- そう考えることによって楽しくなるのか?
- そう考えることによって、現在の状況に立ち向かえるのか?
- そう考えることによって次の機会にもっと良くなると言えるのか?
また「自分を変えるための戦略」として、次の3つが挙げられている。
1.不平不満を目標に変える
不平不満の裏にある「自分の本当にしたいこと」を探し、それを目標にする。
2.達成が容易な目標を持つ
自分の力ではどうしようもない「達成しにくい目標」は失敗する可能性が高い。
わざわざ達成しにくい目標を選んで失敗する必要はない。
3,中間的な目標を設定する
オリンピックに出るという目標を立てたとしても、オリンピックに出るまでに、様々な小さな目標を作らないと、行動が続かない。