セルフ・エスティームには、うぬぼれという意味もある
自尊心という言葉は、英語のセルフ・エスティーム(self‐esteem)の訳語だ。
セルフ・エスティームとは、自分のことを自分で捉えることで、他に「自負心」「自己評価」「自己尊重」「自己価値」「能力肯定感」など、様々な訳語が与えられている。
セルフはもちろん「自分自身を」という意味で、エスティームは「尊敬する・尊重する」という意味の他に「評価する」「~だと思う」という意味を併せ持つ。
元々はラテン語の「評価する」というのが語源で、「自分自身を(高く)評価する」→「自分自身を尊敬する」→「自尊心」という風に訳語ができたらしい。
しかし「自分自身を(他人が思っているより)高く評価する」→「うぬぼれ」という意味でも使われるらしい。
日本語の自尊心には、自分の尊厳を意識したり主張するという意味合いで、いわゆる「プライド」と呼ばれるものだが、どちらかというと「良い意味」に捉えられている。
しかしセルフ・エスティームは、良い意味も悪い意味も含んでいて、高くても低くても問題は起こる。
なのでセルフ・エスティームの訳語として、どういう言葉を当てるかというのは難しい。
日本語で自尊心というと、心の持ち様という感じになるし、自己評価と言うことにすると、逆に心は関係ない感じになるし。
エスティームの語源は「評価する」だから、「自己評価」っていうのが一番わかりやすく、応用が利くかな?
自尊心・自尊感情は、セルフ・エスティームの訳語として使いにくい
セルフ・エスティームという言葉に対しては、自尊心とか自負心、あるいは自己評価など様々な訳語が与えられている。
なのでこの言葉に対して、どういう訳語を使うべきなのか、思案が必要だ。
うぬぼれもセルフ・エスティームの訳語だし、心理学系の論文やハンドブックなどでは、「自尊感情」という言葉が使われている場合もある。
自尊感情とは、自分を尊敬する気持ちということで、「自分を信じる気持ちは大事だよ」という感じだ。
ただし自尊感情という用語は、どうも他では目にすることがない言葉であり、翻訳サイトでも「自尊感情」という用語は出てこないようだから、特定の組織や学会内の専門用語ってことらしい。
セルフ・エスティームというのは、あとで述べることになるが、自己愛・能力肯定・自信という3つの要素からできていて、尊敬・尊重という意味の「尊」という文字を使うと、なんか意味や雰囲気がが食い違うような部分も出てくる。
なので自尊心や自尊感情という用語を、セルフ・エスティームの訳語として使うのは控えて、字面から意味がすぐに想像できる「自己評価」を主に使いたい。
自分自身をどう評価するのか、他人からの評価とのギャップを、どう埋めるのか。
この辺りが実は自尊心の主な課題になってくるのだ。
ただし、自尊心という言葉も世間一般で使われる言葉なので、自尊心と書く方が良さそうな場合は、自尊心を使うことにする。
この場合の自尊心はもう、セルフ・エスティームではなく、セルフ・リスペクトという意味ってことだね。