生まれ順と性格
第一子(長子)として生まれたかどうかは、自己評価に大きな影響をもたらすという。
弟や妹が誕生することで、長子は自己評価が大きく傷つくのだ。
これまで独占してきた両親の愛を、奪われるのでは無いかと心配し、その恐れに苦しむ。
この苦しみは、親への直接的な反抗や、子供に戻るような対抗的な行動、両親の注意を引こうとする態度など、様々な形で表現される。
第三子が生まれる場合、第二子も同じような不安にさいなまれるが、このとき、第一子は逆に余裕を持って対応する。
一般的に、第一子や一人っ子は学業に秀でており、他の子供よりも良い大学に行く事が多い。
逆に第一子以外の子供は、人付き合いに秀でていることが多く、クラスでの人気も高い。
これは兄弟間で、一種の棲み分けが、行われていると考えられる。
つまり第一子は、親を弟や妹に奪われてしまうので、親にアピールするためにコツコツ学業に励む。
そして、弟や妹に対しては、お絵かきや勉強の出来を馬鹿にして、弟や妹の向学心に水を差すようなことをするらしい。
弟や妹は、勉強に関して第一子にかなわないため、だんだん嫌になって勉強しなくなってしまう。
もちろん、必ずしも第一子が勉強に向いているわけでは無く、スポーツで頭角を現す場合もある。
この場合、第二子がスポーツが苦手であったりして、要するに他の子供より優れている分野を、伸ばそうとするわけだ。
自己評価を下げないための防衛機制の「補償」、つまり「別のことで頑張る」というやつだね。
第一子は保守的で、第二子以降の子供は革新的?
生まれ順は、自己評価の安定度に影響を及ぼす。
たとえば第一子や一人っ子で、弟や妹がいない時代は、両親の愛情を一身に受けて過ごす。
しかしひとたび弟や妹が生まれると第一子が受ける愛情や、かまってもらえる時間は大きく減る。
そのため弟や妹を持った直後は、第一子は不安を感じやすい。
一方、第二子の場合は、生まれたときから兄弟がいるので、親の愛情を独占するという状況では育たない。
そのため、さらに弟や妹ができても、第一子ほどは不安定にはならない。
第一子は、親からの愛情を取り戻そうと頑張って、それが学業向上につながったりする。
しかし第二子は、足りない愛情や評価を、親以外の誰かから得ようとする。
そのため、第二子は、これまで持っているモノを失わず、人付き合いが第一子より良くなるのだと考えられるし、自己評価も安定するのだと考えられる。
アメリカの学者、フランク・サロウェイは、生まれた順番によって、人間の運命はどう変わるかを長年研究してきた。
その結果、第一子と第二子以降の子供とを比較した場合、第一子は保守的で、第二子以降の子供は革新的だとした。
この傾向は、科学の分野ではハッキリしており、科学史の28の偉大な革命のうち、23が第二子以降の学者によってであるという。
そして今までの常識を覆すような発表があったとき、第一子はたいてい反対の立場を表明することが多いという。
またサロウェイによると、政治の世界でも、有名な革命家の殆どは第一子では無いらしい。
第一子は、伝統の恩恵を受けやすいため、伝統を守るような価値観を持つことが多い。
第二子は、第一子と張り合っても得るところが少ないため、第一子とは別の道を歩こうとする傾向がある。
そのため早くに家を出ようとし、独立も早いという。