選ぶ時間で、一緒にいたい人が変わる?
恋愛や結婚の相手を選ぶ場合、どういう目的でつきあうのかが、相手選びの重要なポイントとなる。
つかの間の恋の相手なら、直感でも良いが、長くつきあいたいなら、選び方は大きく異なる。
それを示唆するのが、テキサス大学のウィリアム・.スワン博士らが行った実験だ。
この実験では、心理学専攻の学生をテストし自己評価が高い方から10人(上位20パーセンタイル)と、低い方から10人(下位20パーセンタイル)を選んで行った。
まず女子学生を対象とした実験では、被験者がお互いに他の被験者の評価を書き込んだ。
その後、その評価シートから3枚のシートを選んで被験者に見せ、後日行う、3時間ほどかかる実験を誰と一緒に行いたいか尋ねた。
3枚のシートは、被験者を高評価するモノ・低評価するモノ、そして中間的な評価をするモノという風に選んだ。
選ぶ時間はまず15秒以内に一度選んでもらい、次に1分くらいかけて選んでもらった。
その結果、自己評価が高いグループでも、低いグループでも、最初は自分を高く評価してくれる人を選ぶ人が一番多かった。
自己評価が高いグループでは、時間がたっても、最初の選択に殆ど変化がなかったが、自己評価が低いグループでは、時間がたつと自分を低評価している相手を選ぶ人が増えた。
自己評価が低い人というのは、自分を高評価してくれる人と一緒にいると、どうも落ち着かないらしい。
というのも高評価してくれるのは有り難いが、実物を見せるとガッカリさせてしまうんじゃないかと思い、それで申し訳なく思うわけだ。
自己評価が低い人は、自分の欠点を聞きたがる
自分を高く評価してくれる人といたいか、それとも自分をさほど評価しない人といたいか。
これはなかなか難しい問題ではあるが、ウィリアム・スワン博士が行った実験では、最初こそ自分を高評価する相手を選ぶが、時間がたつと、ありのままの自分を正当に評価してくれる人を選ぶらしい。
直感では自分をほめてくれる人を選ぶが、熟慮すると、自己評価が低い人は、自己イメージに近い評価をする人を選ぶわけだ。
スワン博士らは、男子学生に対しても、それを確かめる実験を行った。
この実験ではまず、心理学専攻の男子学生から、テストによって自己評価が高い上位10人と、自己評価が低かった下位10人を選んだ。
(※上下20パーセンタイルずつ)そして被験者それぞれに対して、心理学的な知識を持った大学院生2人に評価をしてもらうが、自分に対して良い評価をしているファイルを見たいか、それとも悪い評価をしているファイルを見たいか尋ねた。
これからそのファイルを用意するので、どちらを見るかを15秒以内に書かせたところ、自己評価が高いグループでは、10人中9人が高評価のファイルを選んだ(9:1)。
一方、自己評価が低いグループでは、10人中8人が高評価のファイルを選んだ(8:2)。
そして、もし見たいファイルの選択を変えるのであれば、電話番号を担当教官に連絡するように指示しておいたところ、自己評価が高いグループでは、比率が8:2になったが、自己評価が低いグループでは、なんと4:6となり、低評価ファイルの方が多くなった。
つまり自己評価が低い人にとっては、自分を高評価しているファイルより、低評価しているファイルの方が必要だということらしい。
自己評価が低い人は、自分の欠点を聞きたがる、というのはこういうところからわかるわけだな。